8月1日発行のメルマガ記事より転載。
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7月31日、総務省にて有識者会議「競争ルールの検証に関するWG(第7回)」がウェブ会議形式で開催された。
会の冒頭にはICT総研がプレゼンに登場し、このメルマガでも紹介した、世界6カ国の通信料金と通信品質比較が紹介された。
それを踏まえたのか、法改正後の影響を振り返る「モバイル市場の競争環境に関する検証について」という総務省からの発表資料には「価格の比較に関しては、通信速度や接続率などのサービス品質、店舗数などのサポートの重要度などと併せて分析することが重要である。通信速度や接続率についての国際比較を料金水準と関連して行った調査も発表されており、今後、そのような観点を踏まえた分析・評価をしていく必要がある」と言及されていた。
これまで、総務省の国際比較は自分たちで調べてきた都合のいいデータしか見てこなかっただけに、他の調査会社による「通信品質」を考慮した分析・評価をしていくという方向転換が見られたのはかなり驚きといえるだろう。
また「店舗数などのサポートの重要性」にも触れられている。実際のところ、アメリカなどではショッピングセンターにキオスク的に出店し、スタッフが一人しかいないような店舗でも「キャリアショップ」という位置づけでリスト化されているところもあるため、「店舗数での比較」をしたところで、日本と海外で、あまり違いは出ないかもしれない。
店舗数だけではなく、さらに踏み込んで「海外のキャリアショップではどこまで顧客に対応してくれるか」などのレポートがあれば、かなり理想的だろう。
海外のキャリアショップと比較し、日本のキャリアショップがいかに献身的にユーザーのサポートをしてくれるか、を踏まえた上で「日本の通信料金は本当に高いのか」を議論してもらいたい。
ICT総研のプレゼンを受けて、有識者からは「高品質だから高くてもいいわけでもない。品質は少し劣るけど安いという選択肢をしっかりと用意するのが重要。
それらはMVNOの役割であったが、今はサブブランドがその役割を果たしている」というコメントがあった。
結局のところ、これからMVNOが生き残っていくには「品質はそこそこだけど、安い」という通信サービスをどこまで日本のユーザーが許容してくれるか、ではないだろうか。
やはり、まだまだ格安スマホに対して「安いのは魅力だが、つながらないなどの不安があるので選択しない」という人は多い。「平日の昼間は遅い」という弱点さえ克服すれば快適だが、なかなか一般的には理解されていない。
あまり歴史を振り返りたくはないが、「エリアはそこそこだけど安いPHS」が生き残れなかったのは、日本人の「多少、高くてもいいから、どこでも繋がる携帯電話がいい」という安さより品質を求める日本人の気質が大きかったように思う。
その辺り、海外の人は「安いならそこそこ」と割り切って使えるんだろうが、日本人は全てに高品質を求めてしまいがちだ。
その点、楽天モバイルが「エリアはそこそこだけど、他社より圧倒的に安い」というポジションを築き、生き残っていければ、日本のモバイル市場も面白くなるのではないだろうか。