8月8日発行のメルマガ「スマホ業界新聞」記事より転載。
8月3日、NTTドコモは決算会見をオンラインで開催した。
3月末より開始した5Gサービスは8月1日現在で 24万契約になるという。吉澤和弘社長は「24万という数字は計画を上回っている。現在の5Gスマホは10万円前後で、5Gのユーザー層は非常に興味のある方だと思う。エントリーモデルをできるだけ早くに投入することで現在3Gや4Gユーザーにアピールしたい」と語った。
一方、気になるのがエリア展開だ。
現在、92都市でサービスを提供しているが、2020年度中には全政令指定都市を含む500都市でのサービス展開を計画する。
一方、ソフトバンクにおいては2021年3月末までに1万局、2022年3月末までに5万局を整備する計画だ。5Gの人口カバー率においては90%を目指すとした。
ソフトバンクとKDDIは、5Gの地方展開においては共同で基地局を運営するとしているし、DSSによって既存の4Gネットワークにおいて、5Gの電波を混ぜることで一気にエリアを広げようとしている。
一方、4Gネットワークの5G展用に対して、距離を置くのがNTTドコモだ。
吉澤和弘社長は「4Gのユーザーが少なくなれば(周波数の転用を)考えていくが、現在は4Gユーザーがたくさんいる。エリアや通信速度に影響が出てくる可能性があり、ユーザー保護の観点に立った考え方が大事だ。また、4Gの周波数を5Gに転用したところで通信速度は4Gと変わらない。有利誤認を招かないように適切な周知を実施していく必要がある。とはいえ、転用を否定しているわけではない。4Gユーザーが少なくなってからは検討していくが、まずはSub-6、ミリ波を活用したい」とした。
例年9月に発売していたiPhoneは、今年は5G対応になるものの10月に延期されることが濃厚となっている。ソフトバンクの宮内謙社長は「晩秋から来年にかけて5G祭りが始まる」と明言しており、キャリアとしてはiPhoneを皮切りに一気に5Gの展開を加速させていくのだろう。
本命はiPhone 5Gだろうし、Pixel 4a 5Gといった廉価版の5Gスマホのラインナップが出揃ってくる。
これまで鳴りを潜めていたKDDIとソフトバンクは10月以降、一気に「5Gが使えるエリア」のアピールをしてくる可能性もある。
一方で、Sub-6とミリ波を中心に展開するとしているNTTドコモとしては、かなり劣勢に見えてしまうかもしれない。
仮に5Gにつながったとしても速度測定アプリで1Gbpsを超えることは稀であり、「高速大容量」を実感することは少ない。
それよりも、スマホのアンテナピクトが5Gと表示され、「ここでも使えるのか」というアピールをした方が、結果としてユーザーの満足度に繋がることも予想される。
10月以降、5Gスマホを買ったユーザーは「速度はそこそこだけどいろんなところでつながっているように見えるKDDIとソフトバンク」を評価するのか、それとも「エリアは超狭いけど、つながれば結構速いNTTドコモ」を支持するのか。どちらが選ばれるのか注目と言えそうだ。